■12月1日――現在の状況
London - December 1
各国で、浸水現象が深刻化してきました。
不便を感じたり、家に住めなくなったりして、水害の少ない地域へ疎開している人々もいるようです。
BBB(貌国放送連盟)のニュースでは、貌国内で初の浸水被害による死者の状況が報道されました。
彼らはまるで「凍り付いたように」硬直し、水中に沈んでいるところを発見されたそうです。
この現象を財団は【凍結】と呼び、準死亡として扱うことを決定しました。
そして、さらなる不穏な気配――
ブリテン北東に位置する北海や、西側の太平洋沿岸部、あらゆる近海で【巨大生物】の目撃情報が。
タンカーをも超えるあまりにも巨大な魚の背ビレを海上で目撃した、
おそろしく巨大な蛸の触腕のようなものが船をかすめていった、
そういった噂が、頻繁に聞かれるようになりました。
世界のあちこちへ、滅亡の影がゆっくりと忍び寄っています。
■11月20日――現在の状況
世界各国において、謎の【浸水現象】が発生。
あちこちで被害が発生し、各国それぞれが対処に追われている状況です。
また、海上では、謎の【巨大生物】の目撃情報もあるようです。
詳しくは、こちらの世界滅亡スクラップブックにまとめられています。
BC財団は、この異変について、「Zシナリオ――"世界滅亡"」の可能性を危惧し、
関連事象の調査のため、Zシナリオに対抗するための調査団、通称「Z調査団」の結成を決定。
管理者として、前回の天照調査団も率いた、ベテランのMr.Dが就任。
何が発生するか分からない、前例のない危険な状況のなか、
調査団への参加志願者の募集を開始しました。
そこへ、謎の少女・ジーナが飛び入り参加!
いったい彼女の目的は何なのでしょうか?
世界滅亡の足音は、まだ遠く、しかし着実に近づきつつあります。
■12月10日――現在の状況
全53名のZ調査団員が、超巨大調査潜水艇ノーティラス号に乗り込みました。
これより、魔晶石エンジンによる擬似エーテル脈構築のため、乗組員は小ハッチ以外からの乗り下りはできません。
ついに調査の旅が始まるのです。
ただし、出航の正確な日時や、調査地が知らされるのは直前です。
スパイなどによる、調査情報の流出を防ぐためです。
また、潜水艇の航行ルートでもある、ブリテン付近の北海では、【巨大不明実体】が確認されています。
このため、いつ出航できるか、確実な情報は知らされませんでした。
北海調査団を指揮したMr.Dによると、既に【巨大不明実体】による被害が出ており、
財団の小型調査潜水艇も1艘、ロストしているとのこと。
噛み砕かれたような破損の痕跡があったものの、中の人員は消え失せており、安否も不明です。
他にも、漁船類などが失踪していますが、これらは海底で発見されたものの、遺体はひとつとして発見されておらず、所在も不明との調査結果が報告されました。
海中を往くノーティラス号も、安全ではないかもしれません。
Mr.Dからは、たいていの海洋生物はノーティラス号の巨体に向かってくることはないが、不測の事態には備えておくべきだろうとコメントしました。
あまねく希望と一抹の不安を乗せ、潜水艇が最初に向かう場所は――
「大西亜共栄圏 天照神国」。
極西の大国で、Z調査団は何を発見するのでしょうか。
ノーティラス号は、静かにエンジンを脈動させながら、出発の時を待っています。